海水魚とサンゴの飼育アルバム - 特集:立ち上げ

Love Sea Fish and Invertebrate - START UP


2005年4月30日 ベルリン式海水魚水槽の立ち上げ

2005年2月から始めた海水魚水槽の立ち上げの記録を簡単に書いておこうと思う。数年後、どうやって立ち上げたっけ???というボケを回避するための自己防衛である。これから海水魚水槽を立ち上げようという人にお勧めの秘策があるわけではないので、読むだけ時間の無駄という噂もチラホラ。うちの飼育方法はナチュラルシステムで、ナチュラルシステムにはモナコ式、ベルリン式などいくつか種類があるが、ベルリン式のつもりで立ち上げた。これらの飼育理論や一般的な立ち上げ方法については、諸先輩方のサイトに「海水魚飼育入門」や「ベルリン式」などのタイトルで詳しく説明されている。初心者のぼくがここで聞きかじった内容を説明するよりもそちらを見ていただきたい。そこまで言ってもさらに先を読もうという強情な人は、アクアリスト見習いの与太話として気楽に読んでほしい。過去のことなので、今更文句を言われてもぼくも困る。

ぼくは身近に相談する人はいないし、ショップの店員もそれほど当てにはならないことがわかったので、いろいろなサイトを見て自分なりに研究し水槽を立ち上げた。ここで問題になるのは、立ち上げ時期や設置場所など個人的な条件の違いで、必ずしも一般的な立ち上げ方法通りにはいかないことや立ち上げ手順には諸説あったり、どんなに検索しても記載されていない細かいどうでもいいようなことに悩んだり、判断に迷うことがある。そうした場合、「もうイヤ!とにかくやってみよう!」ということになる。そこで当然ながら誤った選択をしたりして、後で反省することもしばしばある。そんなことをここにダラダラと記録しておこうと思う。

海水魚を始めるにあたってだれでもすぐに思いつくのは水槽なのだが、その前にキャビネットを用意する必要がある。海水魚飼育は器材が多く収納場所として、また、たいへんな重量になるので確実な設置場所として用意したほうがいい。ということまでは、調べればわかる。しかし、どういうキャビネットを選択するかは、どういう器材を置くかによって選択肢がさまざまで悩んでしまう。以前、淡水魚を少しやってたことはプロフィールに書いたけど、そのときは60cm規格水槽を家具の上に置いていたので水槽用キャビネットを使うのは今回が初めて。これから始める海水魚は無脊椎をたくさん入れてきれいに見せたいので規格水槽を使う気はない。水槽の奥行きがないと思い通りのレイアウトができないし、底砂を入れたりスキマーを設置するため高さも必要で規格水槽では役不足なのだ。

水槽の置き場所はリビング。小さい家なのでスペースは限られている。無脊椎を入れる場合、高い水温は禁物ということで日差しのあたらない涼しいところがいい。そうすると、リビングの角、ドアの横がよさそうだ。そこだと、スペースは横90cm×縦45cmが最大ということになる。水量が多いほうが水質が安定して維持が容易なのだが、90cm水槽から始める自信はない(だって一人で持てそうにない)。小さい水槽で水量を増やすにはオーバーフロー水槽を使えばいいのだが、オーバーフローは費用もかかるが、塩ビ配管などわからないことが多すぎる。そんなわけで60cmか、90cmか、オーバーフローにすべきかと散々迷ったあげく、最も手軽な方法として、60cm、オーバーフローなしとすることにした。でも、購入したキャビネットは90cm×45cmのオーバーフロー対応。最初から90cm オーバーフロー水槽にアップグレードすることを予定して始めたわけ。なんて壮大な計画なんだろう!

2005年2月末、近くの熱帯魚ショップを回ってデザイン的にリビングにマッチするものを購入した。キャビネット見た目優先で家具調のものを購入したのだが少し反省がある。このキャビネットは前面に扉があり、後面に隙間があるが側面は一枚板でふさがっている。しかもキャビネットを後ろの壁にぴったりくっつけて置いたため、設置後は後面の隙間は使えない。設置時に電源ケーブルだけは通しておいたけど。水槽台にはウッドラックという外枠だけのものがあり当時はこんな無愛想なものはリビングに置けないと一蹴したけど、こういうもののほうが機能的な柔軟性があってよかったかもしれない。見た目はホームセンターで板を買って加工すればどうにでもなる。
もう1つの反省は、水槽と水漏れはつきもので避けて通ることはできない。それを考えるとキャビネットを置く前にシートを敷くなど防水処理をしておいたほうがいいと思う。水槽から溢れた水はキャビネットと壁の隙間にも流れ落ちていくがそんなところはふき取ることはできない。床板が腐って床が抜けたりしたら目も当てられない。

2005年3月6日。これまでの検討の結果、水槽は60×45×45cmのオーバーフローなしに決めていたので迷わず購入した。水槽しかし、今思えば結果的にオーバーフローにしたわけだし、最初からオーバーフロー水槽にしておけば余計な苦労はせずにすんだ。

水槽まで用意できたところで次になにをすべきか迷った。いろいろなサイトの立ち上げ手順を見ていくと、海水が先という人と底砂が先という人と二通りの説がある。海水を先に入れる場合、水槽のなかで人工海水を溶かすことができるという利点があり、器材の少ない初期の段階では重要な要因となる。でも、底砂を海水のなかに入れることになるので、水の濁りが激しいように思う。それと人工海水はそれほど迷うこともなく、ショップのお勧めを買ったので、まずは、底砂をどうするか検討することにした。ナチュラルシステムはライブロックとライブサンドの濾過バクテリアに期待する方法なので、この2つはいいものを入れておきたい。ライブサンドは特にライブサンドを購入しなくても、時間をかければバクテリアが自然発生してライブサンドになるとか、市販のバクテリアを使う方法もある。しかし、埼玉で発生するバクテリアって大丈夫?(海ないのに)とか、市販のバクテリアのような人工物を使う気にもならない。ナチュラルシステムで底砂として使用するサンゴ砂の粒の大きさや敷く厚さによって硝化、脱窒作用がうまく働くかどうかが決まる。そうそう、最初からベルリン式に決めていたように書いているけど、実はこの段階でモナコ式とか、YANOシステムとか、プレナムとか調べてはみた。でも、ベルリン式が一番簡単そうで主流のようだし、比較的あっさりと決めた。すべて最後は面倒かどうかで決めているのだ!とにかく、底砂については考えることが多く悩んだけど、評判がいいカリブシーのアラゴナイトとライブサンドを組み合わせて5cm程度の厚みに敷くことにした。

2005年3月13日。カリブシーは近くのショップで購入。カリブシーは水槽に入れる前に水道水で洗った。アラゴナイトは何度洗っても白濁がなくなることはないということだったので、2回ほど水を替えながらかき混ぜて終わり。あとで知ったことだけど、水道水で洗ったため不要な成分を水槽内に持ち込んだと思う。純水で洗ったほうがいいそうだけど、わかっていても無理だな(浄水器がない)。こうして水槽にはまずアラゴナイトが厚み3cmほど入った。

2005年3月10日、ライブロック発注。ライブロックは沖縄に注文した。ライブロックは漁師さんが海で採ってくるらしく、3月は寒いし時化の日が多くまとまった数の入荷がないらしい。そのためライブロックを待っているアクアリストがたくさんいて順番が回ってくるまで2週間ほどかかるということ。

2005年3月14日、ライブサンド発注。

2005年3月17日。2日後にライブサンドが届くので人工海水を作る。水はスーパーマーケットにあるボトルを買えば無料という純水を衣装ケースに半分ほど入れて持ち帰る。半分以上入れると重くて持てないし、車の荷台が水浸しになる。1回で50Lほどの純水を入手できる。水が冷たいからヒーターで25℃に温めるけど、待ちきれないので薬缶で沸騰させた純水も混ぜる。次に人工海水を入れる。最初はどのくらい入れたらいいのか見当がつかないので恐る恐る少しづつ入れていたからすごい時間がかかった。海水ってすごい量の塩が溶けてるんだなあ〜と感心。比重計の使い方もよくわからなかったので、計るたびに数値が上がったり下がったり。人口海水を作るときはパワーヘッドなどの攪拌機を使うと同時によくかき混ぜて比重計測すること。溶けたと思っても、念を入れてさらによくかき混ぜる。よくかき混ぜないで計ると比重計の針がフラフラして安定しないので正確な数値が取れない。

2005年3月19日。沖縄からライブサンド10kgが到着。ただの砂なんだけど、沖縄からの初荷というだけで結構感激した。さっそくライブサンドをアラゴナイトの上に敷く。アラゴナイトと混ぜたほうがいいのかわからないので混ぜないで上に敷く。アラゴナイトとライブサンドの2層の底砂ができあがる。手のひらで前面を浅く(4cm)、後面を深く(7cm)整える。こうしたほうが奥行きがでて見た目がいいらしい。ライブサンドには微生物やバクテリアがいるはずなので(見てもわからないからいると信じるしかない)、当然ながら洗ってはいけないし、すぐに海水を入れてあげる。この段階でヒーター、パワーヘッド、プロテインスキマーなどの一般的な器材を設置する。プロテインスキマーはベルリン式の要となる器材だしいろいろ種類があって迷っただろうと思われるかもしれないが迷わなかった。というか選択の余地はなかった。オーバーフローではないのでハングオン式のスキマーで評判のいいものというとプリズム以外考えられず即決定した。底砂が舞わないようにゆっくりと海水を入れたがそれでも海水は真っ白に濁った。1週間ほどで透明になる。とにかく、水槽に海水が入った!魚もサンゴもいないし、真っ白でとても海水には見えないけど第一歩を踏み出したことに間違いはない。しばらく海水だけの水槽を見て感動が収まるのを待つ。

海水とライブサンドが入ったので、ここから水作りが始まる。水作りっていうのはバクテリア飼育のことだ。海水魚水槽の成否がこの段階にかかっていると言っても過言ではない。立ち上げというのはバクテリアが定着し、硝化と還元が機能を始めるまでを言い、最短でも1ヶ月程度はかかるようだ。硝化と還元が機能しているかどうかは、アンモニア、亜硝酸、硝酸塩を試薬で測定して判定する。本来の手順であれば、ここでライブロックを入れるべきなんだけど注文したライブロックの納期はまだ先になりそうだ。ライブロック待ちでなにもしないわけにはいかないので、ライブロックなしで少しづつ進めていくことにする。

2005年3月26日、立ち上げ1週間目。近くのショップを何件か回り、ライブロックSサイズを2個、デバスズメ3匹、マロンヤドカリ3匹(後にマロンヤドカリという名前は間違った名前であることがわかる)を購入した。ヤドカリは立ち上げに関係ないが店頭で見てほしくなった。ライブロックはキュアリング済みなので海水でジャブジャブすすいで入れる。デバスズメとヤドカリは水合わせをして入れる。水合わせは一般的な方法だが、yuichanがスポイトで水槽を水を少しづつ合わせていく。
ライブロックは注文しているライブロックが届いたら土台になるように小さめのサイズを選んだ。ライブロックを組む場合表面積を少しでも大きくするため隙間をあけて大胆に組んだほうがいい。そうするには、小さいサイズで土台を作り、土台の間を橋渡しするように浮かして大きいサイズのものをのせていくことになる。バクテリア飼育というのはバクテリアの餌であるアンモニアを水槽内に発生させればいいわけで、パイロットフィッシュと言われる魚を入れる。パイロットフィッシュに給餌し糞をすることによってアンモニアが発生するわけだ。パイロットフィッシュはそもそも水ができる前に入れるから犠牲になるのを覚悟で入れるわけで、これには賛否両論あるようだ。生体を入れずに給餌だけすれば同じ結果が得られるということでパイロットフィッシュを使わなくても立ち上げは可能だが時間がかかる。パイロットフィッシュと思うと悲壮感はあるが、飼い主のわがままを言わせてもらえば、とにかく海水魚が入ったことがうれしい。デバスズメの淡く輝くグリーンブルーが眩しい。海水だけの水槽を見ているよりも明らかに楽しい。この悪条件を乗り越えて長生きしてほしいと願う。

2005年4月2日、立ち上げ2週間目。デバスズメを入れて3日目に1匹☆。アンモニアの数値は落ちていないが、足は夢遊病者のように海水魚ショップへと向かう。水質はまだよくないけど、無脊椎のなかでも丈夫なソフトコーラルならきっと大丈夫だろうと自分に言い聞かせて、イエローポリプとマメスナギンチャクを購入。初の無脊椎!無脊椎には光が必要だということでメタハラも購入。ホームセンターでワイヤーラックを買って水槽の上に設置し、そこからメタハラを吊るした。いやー、無脊椎が入ってメタハラをつけるときれいですね〜。もういっぱしのアクアリストになった気分。

2005年4月9日、立ち上げ3週間目。ライブロック発注からそろそろ1ヶ月になるが、未だに納期が決まらない。少し焦り始める。別の業者に再発注するか。でも、不漁というのはどこも同じ状況のようだ。近くのショップのライブロックで妥協するか。うーん、アクアリストに評判がいい沖縄のライブロックが使いたい。絶対沖縄のライブロックが欲しい!!!と駄々をこねたあげくもう少し待つことにした。その腹いせではないが、沖縄に注文したベントスパックとカワラフサトサカが届く。ベントスパックは砂のなかの生き物の詰め合わせで、2枚貝、ゴカイ、巻貝などが入ってる。これらの生物は底砂のなかを動き回りバクテリアによる脱窒機能を向上させる。説明書通りタッパーに入れて水槽の底砂に伏せておくとみなさん砂のなかに移動した。その後どうしているかはわからないが、しばらくすると底砂にトンネルができ始めたので元気に活動してくれているようだ。

2005年4月16日、立ち上げ4週間目。やっとライブロックの納期が決まった。週末がいいなんて精神的な余裕はないので、「す、す、すぐに送ってください」ということで4月21日木曜日に届くことが決まった。長かった、辛かった。実は2週間後の5月1日から2週間近くアメリカ出張を予定しているので、それまでに立ち上げに必要な作業をすべて完了しておく必要があり本当に余裕がなかったのだ。ライブロックをキュアリングするための海水を用意しておく。

2005年4月21日。噂に聞いていた優れものの本物のライブロック取れたてホヤホヤが届いた。磯の香りがするらしい。匂いに敏感ではないので、あまりに匂わない。でも、腐った匂いはしないので問題なし。いろんな生物が付いているらしい。見てもよくわからない。ショップで売っているライブロックとは色が違うことはよくわかる。薄紫のきれいな色をしている。沖縄で一度キュアリングはしているらしいが、念のため、キュアリングをする。作っておいた海水を送られてきた発砲スチロールに入れパワーヘッドを半日ほど回す。ライブロックの岩組みはyuichanと二人あーでもない、こうでもないと試行錯誤しながら、なんとなく思い通りのレイアウトを組むことができた。少しライブロックの量は足りないようだが、無脊椎とのバランスを見ながら少しづつ追加してことにしよう。海水魚水槽の見た目の魅力は、ライブロックの紫とサンゴ砂の白を背景として、多彩な無脊椎の色と形がオブジェクトのごとく奥行きと変化を形作り、そのなかをアクセントとなる原色の海水魚が動くことによって背景とオブジェクトを融合させ1つの絵画のように見えることにあると思う。そういう意味で、ライブロックが入ることでこれまでとはまったく違うものに見える。全体のバランス云々を言及できる段階ではないし絵画のようとはとても言えないが、やっとスタートラインに立ったような気がして胸が躍る。

2005年4月23日、立ち上げ5週間目。ライブロックが入ってうれしいから、ユビワサンゴヤドカリとアカクビハゼを入れる。

2005年4月30日、立ち上げ6週間目。まだ硝酸塩はあるがアンモニアはほとんど検出されなくなったので、一応立ち上げは終わったと思う。立ち上げ中デバスズメが1匹犠牲となったが他は問題なかった。ライブロックの納品が予想以上に遅れて待たされたが、せっかちなぼくにはいい方向に作用したのかもしれない。もし、すぐにライブロックが納品されていたら、もっと早く生体を導入していたかもしれない。立ち上げはゆっくりと時間をかけ1つ1つの手順を確実にのんびりと進めたほうがいいと思う。立ち上げの終了を宣言して、海水魚を始めた目的であるカクレクマノミを2匹購入。

明日から2週間のアメリカ出張。本当に立ち上がったのだろうか?時間切れで仕方なく立ち上げ終了を宣言したという噂もある。留守中にトラブルが起きたら家族は対処できるのだろうか?後ろ髪を引かれつつアメリカに飛び立つ。

− 完 −

ホーム | プロフィール | 写真集 | タンクメイト | 特集 | 飼育ログ | 器材 | リンク
© 2005 Lovefish Album